「本を読もう!」

  

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 「お伽草子」謎解き紀行 著:神一行 学研M文庫

私の好きな神一行氏の著書です。
この作品は雑誌の取材と言う設定で主人公が「お伽話」について調べて行く上で本当の歴史との拘わり、歴史の真実を追っていく作品です。
皆さんが良く知っている「桃太郎伝説」「浦島太郎伝説」などに迫ります。
如何せん紙面の都合かすべて中途半端なところは非常に惜しいところです。
本来の著書の作品にしては些か消化不良をおこしてしまいます。
各項に対して改めて長編を期待したいところです。

 消された大王饒速日 著:神一行 学研M文庫
これも神氏の作品です。
彼の真骨頂がこの作品には表されています。
「饒速日」(ニギハヤヒ)と読みます。
ヤマト朝廷以前にこの国を統治した人物として氏は考えています。
畿内に最初に上陸した場所や、なぜ「飛鳥」と書いて「あすか」と読むか「春日」と書いて「かすが」と読むかなど非常に面白い見解が登場します。
日本各地の神社に奉られている神を調べて行き最後には「ニギハヤヒ」の正体を突き止めます。
神氏の最高傑作の作品だと思います。

 崇神天皇とヤマトタケル 著:神一行 学研M文庫
上記の内容を序章に持ってき、初代天皇から闕史八代と言われている天皇、そして「葛城」「三輪」王朝の謎、三王朝交代説など非常にオーソドックスに各説を纏めて説明されています。
すべての天皇等にはモデルがあると思います。
ヤマトタケルにもモデルは存在したと思います。
但し、そのモデルは一人か複数か?様々な伝承が一つになって「ヤマトタケル伝説」は出来あがっているのでしょう。

 飛鳥時代の謎 著:神一行 学研M文庫
上記2冊に続けて読めばよりわかり易い作品です。
この作品は今尚謎の多いロマン溢れる「飛鳥時代」について書かれています。
しかし、実際はロマンとは程遠い時代だったことは周知の通りです。
その時代の人物「聖徳太子」「天智・天武天皇」など謎に迫ります。
この作品も非常に読みやすく・この時代を判りやすく表現してしています。
但し作者は歴史学者ではなく「ノンフィクション作家」ですので歴史学者の評価はどうなんでしょうか?
でもこっちの方が真実に迫っていると思いますよ!

 古代幻視 著:梅原猛 文春文庫
梅原氏の作品です。
相変わらず非常に難しい内容の作品です。
「幻視」とは心の力の意味です。歴史の謎を解く最後の鍵は「幻視」しかない、現在存在している資料から「幻視」の力で読みとっていくという内容です。
何故それが存在するのか、その存在の謎・意味を当時の時代背景から読みとって行く力は「資料絶対主義」の歴史学者には持ち合わせていないものである。
「日本書紀」に書かれてないから「そんな事実はない」「存在しない」では
なく、何の為に作られたのかを探っていくのが氏の真骨頂である。
しかし、難解です。

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